karotousen58のブログ

「変なことを思い出す→そのことについて、変な見解を述べる」というブログ

今週のお題「思い出の先生」

今週のお題「思い出の先生」

 

今回は、宅建(という国家資格がある)教室の先生について書く。

宅建試験は、毎年10月中旬に行われる。来月受験予定のかたは、試験が終わるまでは私がこれから書くことを読まないほうがよい。

 前にも書いたことがあるが、宅建の資格を取るために宅建教室に通ったことがある。

もっとも、宅建教室といっても、田舎だから大手の資格学校は地元にない。「地元にある文化センターの、一講座」として宅建講座が開講されていて、それを受講した。「大手資格学校講師による、ビデオ講義」ではなく講師のナマ講義だった。

宅建資格取得方法や方針については、いろいろな考え方がある。また、実際に勉強した人にとっての感触も、さまざまである。

私が勉強していたころは、「宅建は、法律系資格の登竜門的なポジションの試験。他の資格取得に役立てるための試験と考えろ。だから、宅建取得にはあまり時間をかけるな。とりあえず、点を取ることだけ考えたほうがいい。3か月勉強して点取りテクニックだけで合格するほうが、長時間かけて高得点で合格するよりずっとよい。」という意見が、合格者の手記では多数派となっていた。

実際に勉強した人の感触も、真っ二つに分かれていた。「国家資格にしては取りやすい。要領よく勉強して短時間学習で合格するのがよい。」といったものと「3回受験したけどだめだった。だからあきらめた。」といったものと。

また、受験する動機もさまざまである。会社の方針で受験が義務付けられている、法律の知識をつけるためのとっかかり、法律や不動産に興味はないが身分証明書がわりになるものがほしい(実は私がそうだった)、など。

私が受講した教室の先生は、「点数さえ取れたらよい」という方針ではなかった。教室では、「試験には出ないが、実務では触れると思われる事柄」とか「法律に隠れた、法律制定者の思惑(試験には出ないが)」とかいったことについても話された。

おそらく、この先生の方針は、「勉強なんて面倒。短時間の勉強でとにかく点数がとれさえすればよい。」という受講生やそういう受講生の意向にそった学校とは、相性が悪いだろう。私自身、受講前は、「私は文系科目は苦手。勉強も面白くなさそうだし、点数を取ろうとすることだけでいっぱいいっぱいだろうな。」と思っていた。

しかし、受講して思いは変わった。「点数さえ取れたらという勉強はあまり面白くないな。『点取りテクニックで一発合格』という方針だけがよいとも、言い切れないな。『じっくりと法律の制度趣旨とか発想法(といえば大袈裟だが)を学びながら、3回以内の受験で合格』という方針も人によっては有効なのでは?」と思うようになった。

他の先生なら、こういう思いは持たなかったかもしれない。この先生の講義を受講できた偶然に、感謝している。

 

今振り返ると、この宅建教室で講義をやるのは、講師にとって不利な条件が揃いまくっている。私にはそう思える。

・教材や模試の研究をする余裕は、大手予備校ほど確保されていないと思われる。実際、「模試はできません」と言われた。

・大手予備校であれば、法律改正点や直前などの短期講座を組むこともできる。受講生も、目標を絞って短期講座受講という方法がとれる。しかし、田舎の文化センターだとそれは困難。

・受講生の態度にも問題あり。「先生様が与えてくださるものだけ消化しさえすればよい。自分なりに考える必要なんかない。」とか「実務と試験とは微妙に違う。実務の知識が邪魔になって点が取れない。」とか「点数の差は記憶力の差。若い人でないと難しい。」「模試なんて時間の無駄」「マークシートだから楽」とかいう声がよく出ていた。

このような状態で「点取りテクニックだけではない講義」を行うのは、大変だと思う。

 

実際に受講してみると、「点取りテクニックだけではない講義」は私と相性が良かった。暗記の下手な私にとっては、「法律などの背景を考える」といった情報が入ったほうが勉強しやすく思えたからだ。

14歳の法律相談所(ロースクール)

14歳の法律相談所(ロースクール)

 

 宅建試験の勉強中に 、こういう類の本も読んでみようと思った。法律系資格取得を考えていない人も、読んで無駄にはならないと思った。ただし、この本には「内容が古い、出版社が経営破たんしたため入手しにくい」という難点があるが。

   

結果的に、私は1回の受験で合格できた。合格して数年後に、管理業務主任者という資格とマンション管理士という資格が新しくできた。そのとき、私はそれらの資格試験用勉強が苦にならなくなっていた。そして、1回の受験で合格できた。

「受講して思いが変わった」経験があったから、数年後の勉強が苦にならなかったのかもしれないな。「点取りテク

ニックだけで一発合格の方針しか知らなかったら、数年後の勉強は行き詰まっていたかもしれない」と思う。

管理業務主任者マンション管理士の勉強をしていたころ、法律解説系のバラエティー番組が放送されていた。それらの番組に対するイメージも、宅建教室での受講経験がなかったら、また違っていたかもしれない。

 

宅建試験に対して、「1回で合格できないようではだめ」とか「3回受験しても、受からない人は受からない」とかいった意見を聞いて敬遠している人もいるのかもしれない。

しかし、私は、事情が許すのであれば「じっくりと法律の制度趣旨とか発想法(といえば大袈裟だが)を学びながら、3回以内の受験で合格」という方針も悪くないと思う。