知名度が低いかもしれない「豆腐餅」
私の母は認知症で、要介護2と認定されている。毎月1回、ケアマネージャーさん(以降、ケアマネさんと表記)が訪問に来られることになっている。12月の訪問日には、「餅」のことがよく話題になる。
「餅」関連の話題を初めて聞いたのは、6年前の12月だった。
6年前の12月、ケアマネさんから訊かれた。「正月はどんな食事にしますか?」と。
私は答えた。「餅を食べさせるのは、正直言って怖いです。だけど、母から『餅がない。買ってこい。』と毎日言われます。」と。
そのとき、ケアマネさんが、「豆腐と片栗粉で、餅に似たものを作るという方法があります。」と教えてくださった。「ネットで調べたら、作り方が出ていそうだな。」と思った。
検索したら見つかった。「豆腐餅」とよんでいる人もいた。それ以来、うちでは、餅を買わないで豆腐餅なる「代用餅」を作ることにしている。家族からも、特に抵抗はない模様である。貧乏舌の私には、「餅」で通用する食べ物と思える。
今年は、「作り方を教えて」という展開になった。私は即答した。道具も材料も技術も、特別なものは必要ないし。「電子レンジ」が特別だといえば、そうかもしれないが。
ところが、ケアマネさんから意外なコメントが返ってきた。「作り方がわからないという人がほとんど。検索の仕方がわからないという人も多い。そもそもネットを使わないという人も結構いる。」とのことだった。
試しに、「高齢者 餅 代用」といった感じで検索してみた。すると、いろいろな代用餅関連記事が見つかった。しかし、「豆腐と片栗粉」を使ったものは、クックパッド関連記事以外ではなかなか見つからない。「大根餅」や「おから餅」や「いも餅」や「ご飯シートで代用」や「高齢者向けとうたわれた市販品利用」という記事は簡単に見つかるのだが。
そして、それらの代用餅については、コレジャナイ感を訴える人も少なからず存在するようだ。更に、道具や材料や技術について、「私が作る豆腐餅」よりも高度なものもあった。
クックパッドには、「『料理の基本がわかっていない人』が手を出したら、うまくいかない」レシピも少なからず存在する。だから、「クックパッド以外の記事」から試してみるという人も、いるかもしれない。
「これじゃ、『豆腐餅』のレシピにたどり着かない人も結構いそうだな」と思った。
「豆腐餅」の知名度は低いかもしれない。「私の家族以外の人には、豆腐餅に対してコレジャナイ感を持っている人もいるのだろうか? 知りたい。」と、私は前々から思っていた。しかし、検索してもコメントはほとんど見つからない。クックパッド中のコメントは、おおむね好評のようだが。
うちでは、次のようにして豆腐餅を作っている。
材料
絹ごし豆腐150g 片栗粉 大さじ4(好みによって調整を。アバウトでも結構うまくいく。)
作り方
- 豆腐を容器(電子レンジ使用可能なもの)に入れ、フォークの背でつぶす(豆腐の水切りはしない)。
- 1に片栗粉を入れ、しっかり混ぜる。
- 2にラップをかけ、電子レンジで2分加熱。
- 取り出して、再度ラップをかけ、もう2分加熱。
- 豆腐の白い部分が残っていたら、再度数十秒加熱。
- 少し透明感が出て、弾力が出たら出来上がり。
検索したら、砂糖で甘味を付けた「豆腐餅」のレシピも見つかった。
豆腐と片栗粉でできる!もっちもち豆腐餅の作り方 | nanapi [ナナピ]
日本の雑煮は、地域によって大きく違う。餅についても、「四角い形か、丸い形か」「焼いてから入れるか、煮るか」という違いがある。
大雑把にいえば、東日本は「角餅を焼いて入れる地域」が多く、西日本は「丸餅を煮る地域」が多いということらしい。
私も親も、東日本を生活圏としたことがない。私の親は、「角餅を焼いて入れた雑煮」にはなじみがないようだ。
「丸餅を煮る文化圏」なら、豆腐餅でも抵抗は少ないかもしれない。しかし、「角餅」や「焼いて入れる」場合は、豆腐餅だと使いにくいんだろうなと思う。
豆腐餅関連記事がなかなか見つからない理由、こういうところにもあるのだろうか?