今週のお題「お弁当」
競技場でスポーツ観戦をする際、他の人は食事をどのようにしているのだろうか?
私がこれを初めて意識したのは、平和台球場で福岡ダイエーホークスの試合を知人3人と一緒に観たときである。
「平和台球場での野球観戦、福岡ダイエーホークス」という言葉から何をイメージするか? 1990年頃のプロ野球パ・リーグを知っている人なら、おそらくこれだろう。「勝ち試合をなかなか見られない、ホークスファン」というイメージ。
私は当時、平和台球場の野球観戦では「球場で売っている弁当」を買うことにしていた。昔のクラウンライターライオンズのようなことにならないように、できるだけ応援しようと思っていたからだ。知人3人もその弁当を買った。
知人のうちの一人が、2回のホークス攻撃中○○選手が打席に立ったとき、弁当を食べ始めた。すると、他の一人が言った。「おっ。『○○じゃ打てねー』と見たようだな」と。
その場にいた私は思った。「他の人は、試合の状況を考えながら弁当を食べるタイミングなんてものを考えているのか。私ならそんなことにまで頭が回らない。腹の減り具合で決まるんじゃないのか。」と。
球場で西武戦を観たのは、この試合が初めてだった。「平和台球場、福岡ダイエーホークス」時代の西武といえば、当時のプロ野球ファンならおわかりだろう。開幕前に「優勝チーム予想」を聞いたら、ほとんど全員が「西武」と答えていた時代だ。この時代、西武のセカンドのレギュラーは辻発彦選手(現監督)だった。
「辻の守備は上手すぎる」という言葉、当時いろいろな場所で見聞きしていた。試合をナマで観て、この言葉を実感させられた。あまりにも上手すぎて、ファインプレーに見えない。相手チームながらあっぱれ。カネを払ってでも球場で観る価値のある守備だと思った。
当時、西武では、守備固めとしてショートに奈良原浩選手(現中日コーチ)が入る試合も多かった。奈良原選手の守備も凄かった。「辻選手と奈良原選手の二遊間」となったら、更に凄味が増す。
「西武が守りについているときに弁当を食べていたら、確かに、辻、奈良原両選手の守備を見逃すこともありうるな。」と思った。
当時の福岡ダイエーホークスは、とにかく弱かった。攻撃では「ノーアウト満塁から、大きな外野フライさえ飛ばない。」、投手は「メッタ打ちをくらって点を取られたのならまだあきらめがつく。意味のなさそうな四死球で塁が埋まって、その後にタイムリーを打たれる。」といった光景がザラだった。
「ワンサイドで負けるのでも、どこか見せ場を作ってくれ。所謂敗戦処理投手が『次回が楽しみ』と思わせる投球をするとか、誰かがプロ入り初安打を打つとかいった。」という声が、いろいろな場で出されていた。
つまり、相手チームの攻撃時間が長いことが多かった。そこで、「当時のダイエーファンは、相手チームの攻撃中に弁当やいろいろなものを食べていたんだろうか?」なんてことを考えてしまった。
当時、近鉄バファローズというチームもあった。野茂英雄投手が活躍していた。野茂投手も、「相手チームながらあっぱれ」とダイエーホークスファンから思われていた。「(ダイエーが)負けるのはわかりきっている。だけど、野茂が投げそうな試合だからチケットが欲しい。」という声を、当時、いろいろな場で聞いた。
「野茂投手が投げている間も、弁当を食べていられなかった客が多かったのかもしれないな」と思う。
球場で売っている弁当、当時と今とでは微妙に違う。たぶん、チームによっても違いがあるのだろう。
昔は、「ホームラン弁当」とか「ホークス弁当」とかいったベタな名前だった。他に「●●弁当(注 ●●は選手の名字)」というのが何種類かあった。
今では、「●●選手プロデュース弁当」といった類のものがたくさんでているようだ。ストラップやカード等のおまけがついている弁当もあるらしい。
久しぶりに球場でプロ野球を観たくなった。