karotousen58のブログ

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『おしゃべり階段』を思い出した

修学旅行でのヘアアイロンの持込み

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記事とブックマークコメントを読んで思った。

今は、「『コンプレックスとどう向き合うか』というテーマでの会話がやりにくい時代なのかもな」「容姿にまつわるコンプレックスを煽る空気、私が子供だった頃よりもずっと強いんだろうな」と。

そして、『おしゃべり階段』(くらもちふさこ 作)という漫画を思い出した。最近、NHKの朝ドラ『半分、青い』関連でも話題になった漫画である。初出は、別冊マーガレット1978年9月号~1979年3月号。私の姉が、当時、別冊マーガレットを買っていた。

この漫画は、中学から高校、予備校を経て大学受験までの、主人公の成長を描いた作品である。主人公は、「いろいろなコンプレックスを抱えた女子中学生」としてスタート。主人公がいろいろな出来事を経験したりいろいろな人と交わって、コンプレックスと向き合いながら成長していく話である。

 

初出のとき、私は中2だった。リアルタイムで読んでいた。精神的な成長の遅れていた私は当時、この漫画での「コンプレックス」というテーマをほとんど意識していなかった。悪役的な人のうちの一人が、「国分寺さん」という人だった。

この「国分寺さん」、作品中の存在感は大きい。しかし、顔や姿は全然出てこない。活字だけの登場である。

「この国分寺って人、いったいどんな奴? どうして活字だけの登場なんだ?」ということが、当時の私の関心ごとだった。私の感性は、やはりズレている。

 

1990年の盆、私は帰省した。姉も帰っていて、古本屋で『おしゃべり階段』の単行本を買った。当時私は25歳。久しぶりにこの漫画を再読した。そして、「コンプレックスに対する描写、スゲー。やはり、別冊マーガレットの看板作家となるだけの実力派だ。」と思った。

この漫画に次のようなシーンがある。単行本が手元にないから、うろ覚えの記述になるが。

主人公は、「コンプレックスのかたまり」という感じの女子中学生でスタート。主人公にときどきちょっかいをかける男子生徒がいる。主人公はその男子生徒に対して、「いつも自信満々にふるまっている人」というイメージを持っていた。

しかし、あることがきっかけで、「その男子生徒もコンプレックスを抱えている」ことを知ってしまう。また、「それでも、その男子生徒は努力を続けている」ということも意識する。

そして、主人公は決心する。「私も、自信を持てるものを探していこう。私の巻き毛はきれいだ。」と。

(主人公の抱えていたコンプレックスのうちの一つが、天然パーマであることだった。)

「男子生徒のこと」→「決心」となる経過などについては、ネタバレになるから書けない。私が、「コンプレックスに対する描写、スゲー。やはり、別冊マーガレットの看板作家となるだけの実力派だ。」と最初に思ったのは、この場面だった。

変な説教に走らない、安易な解決策を持ち出さない。そういう描写だった。そういう描写で、結構大切なことを伝えていると思った。この場面に限らずいろいろな場面で。

 

リンク先記事を読んで思い出したのは、脇役のことだった。とんがらし、光咲子、立川先生、いい人だなあ。脇役のほうが頭に浮かんでしまう人って、他にもいるのだろうか? 単に私の感性がズレているだけかもな。

 

初出のときは、コンプレックスというテーマをほとんど意識しない状態で読んでいた。当時の私は、精神的な成長が遅れていた。しかし、「コンプレックスを感じることじたいは悪いことではない。コンプレックスとどう向き合うか、これも大切。」というメッセージを、当時の私も心のどこかで、この漫画から感じていたのかもしれない。

その当時、リアルの世界では、次のような言葉を私は受けていた。

「悩むなんてこと無駄だからやめなさい。いつもにこにこと楽しそうに暮らせないようではダメ。」

「そんなくだらないことで悩むなんて、バカとしか言いようがない。考えるならまともなことを考えろ。」

「スポーツに没頭しろ。そうすれば、くだらない悩みを持たなくてすむ。」

これらの言葉とは違ったメッセージ、「貴重だ」と思った人は他にもいるかもしれない。