1973年度版高校数学カリキュラムでの「行列・1次変換」と、私
はてなブックマーク - 現在の子たちは行列を知らない
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1973年度版(現代化カリキュラム、行列初登場)で習った私は、ギャップに驚いた。当時の学参『よくわかる数学2B』(田島一郎 著 旺文社 )では、行列の章に「群と行列」の節あり。行列は「新課程最大の目玉商品」とでていた
2018/09/20 22:55
今回の記事は、ほとんど自分用メモ。数学の嫌いな人は、そっ閉じ推奨。
ほとんどの人にとっては、「読んでも時間の無駄。現代化カリキュラムに関する思い出話なんか読んでも、面白くない。」といったところだろう。そういう内容。
現代化カリキュラム高校数学での科目構成は、数学1、数学2B、数学3(1、2、3はローマ数字大文字)。文系の人も数学2Bまでは必修ということになっていた。行列と1次変換は数学2Bで学習。
「お若い人によるブックマークコメント」を読んで、最初に思ったこと
「1973年度版高校数学カリキュラム(現代化カリキュラム、1981年高校入学生まで適用)と、1994年版以降の高校数学カリキュラムとのギャップ、私の想像に輪をかけて大きかったんだな。吃驚。」
その次に思ったこと
現代化カリキュラムで習った、私の高校時代のことを思い出した。そして、
「行列や1次変換が削除されたことに対して、危機感を感じている人」の中には、現代化カリキュラムで履修された方々もたぶんおられるだろう。その方々にとっての「現代化カリキュラムで習った当時の、行列や1次変換に対するイメージ」って、どんなものなのだろうか? とも思った。
その次に思ったこと
「あれれ? ブックマークコメントでは『高校では、いらないよ。高校で習うレベルじゃ役に立たないし。』派が結構多いんだな。私の場合は、『高校で習っていたから、大学で勉強しやすくなった。」と思えるのだが。
「削除するのはまずい」と考えている人と、「高校では不要。大学から始めればよい」と考えている人との間で、学習内容に関するイメージが大きくずれているかもしれない。
行列や1次変換についての、私の思い出話となる。「この現代カリキュラムで、数学の大学受験勉強をした人」以外にとっては、たぶん、イミフな言葉が出てくる面白くない話。
私が習った現代化カリキュラムでは、行列や1次変換は初登場だった。初登場だったからだろうか、学参でも、「初登場の教材であるから、やや詳しく説明した。」とか書かれているものが結構あった。「学参の著者も、新しい教材の解説に、わくわくしていそうだな。」と、(今の)私に思わせるものがあった。
そして、この単元は、高校時代の私にとって「不思議な内容。不思議でもあり興味深くもある。」ものだった。「中途半端な、計算練習」では終わっていなかった。
「一般に交換法則は成り立たない」とか「A≠O,B≠Oであっても、AB=Oとなることがある」とか「逆行列が存在しないこともある」とか、新鮮だった。
「1次変換の線形性と図形」とか「1次変換の合成⇔行列の積」とか「回転と、三角関数の加法定理」とかいったことも、「不思議なつながり」と思えた。
当時の学参では、「演算」と関連した説明もなされていた。
この単元までは、演算というものは、主として数そのものを対象として行っていた。しかし、ここで初めて、「いくつかの数をひとまとめにした行列」に対しても「演算」を行おうとしている。そこに注意せよ。
という内容の記述があった。
「演算」の範囲も広がるんだなと思った。
当時の学参には、「群と行列」についてふれているものもあった。私の出身高校では扱わなかったが。
「行列の固有値、固有ベクトル、対角化」についても、結果的に、高校で「先取り学習めいたもの」をやった形になっていた。
固有値、固有ベクトルについては、教科書には出ていなかった。しかし、実際の大学入試では、(用語は伏せてあるものの)考え方は多く出題されていた。
大学入学後の線形代数学講義で、「ああ、高校時代に何度か見たタイプの問題、こういう続きがあったのか。」と思った。
「不思議な内容。不思議でもあり興味深くもある。」というイメージ。これを全く持たない状態で、大学入学後にいきなり「ベクトル・行列を中心とする線形代数学」を勉強することになっていたら、私はどうなっていたのだろう?
私の頭なら、「うまく学べないまま講義がどんどん進んでしまい、混乱。」となったと思う。
実際の試験の点数という観点を外れて、ただ、「不思議で興味深いと思った」というだけのこと。これが、意外に、「後から学ぶことに対する、とっつきやすさ」に繋がっていた。これも不思議なことだと思う。