世界名言集(全20巻 ポプラ社)を読みたくなった
今週のお題「読書の秋」
「45年前に出版された、中高生向け科学本」のことを前回書いた。この科学本を手にして、1970年代の児童書についてもいろいろと思い出した。そうしているうちに、小6の頃に読んだ(というより眺めたという感じだが)世界名言集(全20巻 ポプラ社)を読みたくなってきた。今回はこれについて書く。
私は1971年に小学校へ入学、1980年に中学校を卒業した。つまり、私にとっての1970年代は義務教育とつながっている。本屋の児童書コーナーは、今と当時とではだいぶ様子が違っていた。
当時の児童書コーナーには、ジュニア版文学全集の類がたくさん置いてあった。当時の私は、これらの本に対して複雑な思いを持っていた。私は、精神的な成長の遅れた子供だった。これらの本が、お堅い、難しすぎる本に思えた。私の姉や弟は読んでいたようだが。
「これらの本を読みたい」という積極的な思いは持てなかったのだが、これらの本に対して「ある種の気楽さ」も同時に感じていた。当時の私は、「『子供向けに、やさしく書きました』という感じの本を読んだのだが、大人の好きそうな感想を持てなかった」というときに、「お前は読解力がない。幼稚すぎる。」といった言葉を大人から浴びていた。「見るからに難しそうな本だから、わからなかったと言っても他の本を読んだときほどは責められない」という思いも持っていた。
これらの本に対しては、とりあえず、タイトルと作者の名前だけは覚えた。それで子供時代が終わった。読解力のある子供にとっては、楽しい読み物だったのかもしれない。
小学生時代、読書は好きではなかった。しかし、小6の頃毎週土曜日は地域の図書館に行くことにしていた。校区外に出るというだけのことが、当時の私にとっては楽しいことだったからだ。
小6の梅雨時期だったか、何故か、図書館にあった『歴史名言集(日本編)世界名言集19』(岡田章雄 ポプラ社 1968年第1版)に興味がわいた。借りてみた。世界名言集は、1966~1968年に第1版が出された本である。
『歴史名言集(日本編)世界名言集19』の表紙には、武田信玄の言葉と肖像があった。写真やイラストもたくさん使って、名言と人物について説明してあった。しかし、私の読解力ではこの本の内容がよくわからなかった。
わからなかったのだが、何故か、「このシリーズ読むのやめよう」とはならなかった。「ティーンエージャー向け」と、このシリーズ本には書かれていた。「ティーンエージャー」の意味をうちにあった辞書で調べた(小学生向け辞書には出ていなかった)。すると、「10代の人」といった意味が出ていた。
「私は11歳。だから、ティーンエージャーだ。読めるはずだ。」と、とんでもない誤解を当時の私はした。ティーンエージャーの意味を知ったのは、中学に上がってからだった。
「精神的成長の遅れた、読解力のない、小6児童」が「中高生向けの名言集を背伸びして読んでみようとする」ことに、なってしまっていた。
「世界名言集」のラインナップは、次のようになっていた。
- ケネディ名言集 下島連
- 釈迦名言集 友松圓諦
- シュバイツァー名言集 三浦靱郎
- 親鸞名言集 寺田弥吉
- ゲーテ名言集 植田敏郎
- 孔子名言集 伊藤高麿
- ヘッセ名言集 高橋健二
- 聖書名言集 関根文之助
- トルストイ名言集 本多顕彰
- 福沢諭吉名言集 富田正文
- チャーチル名言集 佐藤亮一
- イソップ名言集 三浦靱郎
- シェイクスピア名言集 本多顕彰
- リンカーン名言集 猿谷要
- 孫子名言集 山田勝美
- 徳川家康名言集 桑田忠親
- 文学名言集(日本編)古谷綱武
- 文学名言集(世界編)本多顕彰
- 歴史名言集(日本編)岡田章雄
- 歴史名言集(世界編)関楠生
このブログ記事を書くためにいろいろと検索したら、『文学名言集(日本編)』の表紙画像が見つかった。高見順の名言が書かれている。画像を見て「高見順? 高校あたりで初めて知った名前のような気がする。」と思った。読書好きの人なら、小学生ですでに高見順を知っていたのかもしれないな。文学や歴史等について、今私が持っている知識は、小6の頃とほとんど変わっていない。
その後、「他にどんな人の名言が出ていたのだろう? その人たちについてどのような説明がなされていたのだろう? 今読んだら面白いかも。」「読解力のある子供なら、この名言集を読んで、更に文学や歴史や思想等の本を読みたくなったということもあったかも。」と思った。
「文学や歴史等の教養を持った人が、これらの本を再読」ではない。「教養を持たないまま大人になった人間が、年だけ取った状態でこれらの本を再読」してみたくなる。こういう状態になるなんて、思ってもいなかった。
タイトルに出ている人名、「名前だけは知っている」状態にある。しかし、思想とか背景とかほとんどイメージが湧かない。「名前は知ってる。だけど、義務教育の授業で詳しく扱うわけではない(と私は思った)。中学生にもわかる説明となれば、どんな感じのものになるのだろう?」と思った。
孫子や徳川家康については、「何か、今なら児童書というよりビジネス書にありそうだな」などと思ってしまう。中学生向けにどのような解説がなされているのだろう? ビジネス書とタイプが違うんだろうか?」知りたくなった。
画像検索で、『ケネディ名言集』『シュバイツァー名言集』『親鸞名言集』『ゲーテ名言集』『福沢諭吉名言集』の表紙を見ることができた。歴史名言集(世界編)の表紙には、確か、ナポレオンの名言が出ていた。
「表紙に出ていた、シュバイツァーや親鸞やナポレオンの言葉」を検索した。すると、上位で出てくるタイプの名言ではなさそうだった。「著者独自の解説がなされていそうだな。面白そう。」とますます興味がわいた。