karotousen58のブログ

「変なことを思い出す→そのことについて、変な見解を述べる」というブログ

岩波科学の本(1972年第1刷)3冊

今週のお題「読書の秋」

 

先月、地元のとある古本屋に入ってみた。この古本屋は、もともとは岩波書店の本をたくさん置いていた書店だった。毎月、岩波新刊案内のポスターも貼られていた。10年ほど前から、新刊を置かなくなったようだ。

店先のワゴンには、岩波新書や岩波ジュニア新書や岩波文庫の古いものがたくさんあった。100~200円だった。

「面白そうな岩波ジュニア新書がたくさんある。しかも格安で。あれも欲しいこれも欲しい。だけど金がない。」と思った。せっかくだから、店内もみてみようと思った。店内には、新書や文庫以外の本もあった。そして、「岩波科学の本」シリーズのうち、3冊が見つかった。

「このシリーズが、今、手に入るなんて。信じられない。このチャンスを逃したら、もう読めないかもしれない。格安のジュニア新書よりも先に、これを買うことにしよう。」と決めた。買ったのは次の3冊。

 

湖の魚 (岩波科学の本)

湖の魚 (岩波科学の本)

 

 

 

たねの生いたち (1972年) (岩波科学の本〈3〉)

たねの生いたち (1972年) (岩波科学の本〈3〉)

 

 

 

望遠鏡をつくる人びと (岩波科学の本)

望遠鏡をつくる人びと (岩波科学の本)

 

 『望遠鏡をつくる人びと』のみ、1987年第10刷発行。この本のみ、ISBNが書かれている。本に印刷されている定価は、この本が1700円で他の本は800円。「3冊で2000円でいいよ。」と、店員さんの言葉。ラッキー。

45年前に出た、中高生向け科学本。これを今、大人になってから読む。意外な部分に反応してしまう。『望遠鏡をつくる人びと』はまだ読んでいない。

『湖の魚』は水産学の本。「そういえば、水産学の本ってこれまで読んでなかったな」と初めて意識した。

「漁師がいつどこで、どんな方法で魚をとるかを調べることによって、魚の生活を考える」「魚群探知機」「餌の種類を調べる際に、水生昆虫の勉強が役立った」等読んで、「広いジャンルの知識が必要なんだな」と改めて思った。

「近ごろ環境庁というお役所ができて」という記述もあった。環境庁設置は1971年。なるほど、「近ごろ」という表現になるんだな。

「1963年に皆既日食があって、そのときに日食のときの魚の行動を調べた」ことも出ていた。「日本ではその後46年は見られないというので、北海道まで行って調べた」とのことだ。「その後46年」の皆既日食は、2009年の日食だな。2009年のときも、「生物の行動」が話題になっていた。それを思い出した。当時からみたら、2009年は遠い未来。本を読んでいて2009年のことを思い出すのも、何か不思議。

「これこれこういうことが、今のところはわかっていない」という記述もいろいろとあった。

「日本中の湖での、ワカサギの雄と雌の割合」について書かれていた。「北海道、東北、関東、中部地方では雄のほうが多いが、九州や山陰では雌のほうが多い。その理由は今のところ全く不明」とのことだった。

「今なら理由がわかっているのだろうか?」と思って検索してみたが、関係のありそうな記事をうまく見つけられなかった。見つけられなかったのは、私の検索下手が原因かもしれない。

 

『たねの生いたち』は、シダと種子植物等植物相互の関係、種子でふえる植物がどのような経路を経て進化してきたか、ということについて書かれた本だ。

「シダや種子植物については中学理科の授業で出てきたけど、具体的イメージがわかないまま暗記でしのいできた」ことを思い出した。

『湖の魚』もそうだったが、この本でも「歴史」を感じた。

1948年、遠藤隆次先生が「ペコプテリス・サマロプシス」という化石を満州から持ち帰られた。先生は帰国のときに、それを肌身からはなさず、苦心に苦心を重ねて日本に持って来られた。そのころは、そのころは、中国からいろいろのものを持ち帰るのが、たいへん困難だったからである。

という記述があった。

また、「1953年、シダの採集のため沖縄にでかけた」ことについても書かれていた。台風で食糧がなくなると、島の人びとはソテツを食べた。調査中に、ソテツの実に中毒した人のうわさを聞いたとのことだ。「復帰問題、基地問題、台風情報など、沖縄の報道を見聞きするたびに、ソテツの赤い実が悲しく思い出される。」と書かれていた。

今読んで、この本は「1972年5月20日第1刷発行」なんだなと思った。

 

岩波科学の本シリーズ、他の本も読みたい。しかし、なかなか見つからない。

古本屋には、「福音館の科学シリーズ」もあった。『うくことしずむこと』『ひがしとにし・みなみときた』などが。これも欲しくなった。

欲しい本がたくさん見つかった。しかし、カネがない。