正月のしきたり
正月三が日が終わった。とりあえず、ぜんざいを食べなくてすむ。カップラーメンやレトルトカレーがご馳走に思えてくる。
ここまで読んで、「ああ、あそこの雑煮ね。」と思われた方は、私の両親と同郷の方が多いだろう。
雑煮の話を聞くと、東日本と西日本の違いとか京風文化の影響の有無を、私は意識してしまう。
しかし、その地方の雑煮は、「東日本・西日本・京風文化」といった話を超えているものである。
「雑煮とぜんざいって、同じものだと思っていた。」とか、「私は雑煮を食べたことがない。」とか言う人がいたら、その人は、その地方の出身者と思われる。
その雑煮とは、「限りなくぜんざいに近いもの」なのである。ぜんざいよりも、少し小豆が少なめだが。
朝から、その雑煮を食べることになる。甘いものが苦手な人にとっては、大変なことかもしれない。
こういう雑煮を食べてきたから、「餅は甘いもの」という感覚が私から抜けない。
両親の出身県東部の、ある一部の地域では、もう一つしきたりが加わる。
「正月三が日、三食とも、限りなくぜんざいに近い雑煮とおせち料理を食べる」というしきたりだ。
両親は、その「一部の地域」出身だ。大学進学で九州に出るまで、日本全国どこでも、正月三が日は三食とも雑煮を食べるものだと、私は思い込んでいた。
「正月三が日、三食とも雑煮を食べる? あんた、九州の人をかついでるんじゃないの?」と言われたこともある。
10年ほど前だったか、県民ショーのような正月番組で、このしきたりが全国ネットで紹介された。
この番組で今田耕司というタレントから、「正月三が日三食ともぜんざい、これって罰ゲームじゃないですか。」というコメントがあったのを、覚えている。
これを見ていて、「これで、本当のことを言ったと信じてもらえる。」と思ってしまった。
進学先が九州だったことも面白い。九州の雑煮の特徴は、具が多いことである。「具が多くて餅が見えない」雑煮なんて、想像すらできなかった。
「ブリ、鶏肉、焼豆腐、里芋、ごぼう、にんじん、かつお菜(たぶん、これは他県では入手困難)」が入っている博多雑煮を初めて見たとき、「こういうものが食べられるなんて、うらやましい。」と思った。
作るのは大変だが、食べごたえがある。
私は甘いものは嫌いではない。しかし、9食続くと流石に飽きる。本日のカップ入り担担麺はごちそうである。