2021年10月9日の昼、自宅の廊下でナミアゲハのサナギらしきものを発見。
このサナギを観察(「飼育」とか「保護」とかいうのも大袈裟な感じ)することにした。
そして2022年4月27日に、私が想定していた事態とは異なる結果となった。
発見からの経過をこれから書いていく。
サナギの写真がたくさん出てくる記事なので、苦手なかたは、そっ閉じ推奨。
2021年10月9日の昼、私は自宅の廊下に出た。
その数日前、使えなくなった家電製品を廊下に置いていた。粗大ゴミの収集日に出す予定にしていた。出し忘れないように、収集日前日に確認しようと思い廊下に出た。
その家電製品を見てびっくり。アゲハのサナギらしきものが付いていた。オレンジ色に少し近い茶色だった。「小さいサナギだな。春型かな?」と思った。
「うちの中に入ってきてサナギになってくれたんだ。観察しよう。」と思った。
この時点では、蝶のサナギについては次のようなことを知っていた。
- これは、アゲハ系列のサナギっぽい外見
- アゲハチョウには、春型と夏型がある。春型のほうが小さい。春型はサナギで冬越し。冬越しするタイプのサナギは「越冬サナギ」といわれる。
- アゲハのサナギには、緑色、濃い茶色、オレンジ色に少し近い茶色のもの、いろいろある。オレンジ色に近いものは、越冬サナギが多い。
- モンシロチョウの羽化率は非常に低い。2%だったか1%だったか、子供の頃に本で読んだような気がする。ほとんどが寄生バチなどに寄生されてしまうらしい。
- サナギの一部分が黒ずむなど変色したり、サナギの腹部が伸びた形になっていたら、寄生されている場合が多い。このサナギには、発見日に、それらは見られない。
- 寄生されていた場合、羽化よりも前に、寄生した昆虫がサナギから出てくる。
「観察する際には、いろいろと注意しないといけない点がありそうだ。きちんと調べてから観察していこう。」と思った。どうやら、このサナギは、ナミアゲハのサナギっぽい。ナミアゲハの羽化率は0.6%らしい。ソースが不明ではあるが。
発見2日後のサナギは、茶色が少し強くなっていた。自然な変化なのかどうか、気になる。
この時期のサナギは、越冬型なのか否か判別が難しい。
越冬型なら、室温や夜の照明に注意が必要。冬に羽化する危険性あり。
屋外に出す場合は、アオムシコバチなどの寄生に注意する必要あり。
非越冬型だとしたら、「気温が低く、花が少ない」難しい時期での羽化になる。越冬型であってほしい。
サナギの付いた家電製品を室内に置いた方がいいのか、外に置いたほうがいいのか、迷った。
室温や照明のほうが寄生昆虫よりも対策がしやすいと思ったから、室内に置くことにした。
「乾燥しないように、時々、霧吹きで水をかける」と、本には出ていた。
しかし私は、ここで迷った。「これって、冬に乾燥する地方での話なのだろうか? 山陰地方なら、水をかけないほうがいいのかもしれない。」と思った。
何度か検索して、「加湿器のいらない地域での飼育」について記述が見つかった。
山陰地方での室内なら、霧吹きで水をかけないほうがよさそうだ。
2021年10月14日
サナギ観察について新たな事を知った。
チョウのサナギが羽化するときには、「つかまる足場と、羽をのばせるスペース」が必要だとのことだ。今の状態だと、つかまる場所がない。
チョウが羽化してサナギから出て行くときには、上部へゆっくりと進んでいく。
だから、つかまるものがない場所でサナギになってしまった場合は、サナギの上一面に網をつけておいたほうがよいらしい。
慌てて網をつけた。
2021年10月30日
サナギ発見から3週間経ったが羽化しなかった。越冬型と認定。発見2日後に色が茶色っぽくなって以降は、変化は特に無さそう。春に無事に羽化してほしい。
2021年11月2日
「チョウのサナギは、動くこともある」と初めて知った。
チョウの羽化写真を見ていて、「付けた網の位置、上にいきすぎかも?」と不安になった。私が網に触っていたら、サナギが左右にピクピク動いた。びっくりして、私は網から指を離した。
検索したら、「刺激が加わると、サナギが動くこともある」らしい。よく動くサナギとあまり動かないサナギと、個体差があるらしい。このサナギが動いたのは、このときだけだった。
この時点からは、1日の「最低気温が10度以上かつ最高気温が20℃以上」が続く状態になるまで、「春と間違えて羽化してしまう」事態にならないように気をつける必要がある。また、寄生サナギの兆候がないか注意する必要もある。
「変化があったらまずい。だが、無いなら無いで、サナギが生きているかどうか心配」という状態がずっと続いた。
サナギの付いた家電製品を置いている廊下は、父の寝室に接している。父は、テレビや照明をつけっぱなしで寝落ちすることがよくある。早朝にテレビを見ていることもあるようだ。サナギに悪影響がありそうで心配。
2022年4月15日
4月となると、羽化が気になってくる。週間天気予報の予想気温が気になってくる。
私の居住地では、1日の「最低気温が10℃以上かつ最高気温が20℃以上」となるのは下旬以降の模様。羽化するとしたら、下旬以降となりそうだな。サナギを見つけてから、7ヶ月近くになる。
実際、今年は、この時点では蝶をまだ見ていない。
私の居住地では、4月下旬から5月上旬にかけて、風がとても強くなる日が多くなる。
風の強すぎる時間帯に羽化した場合、翅が延びきらなくなることもありうる。心配。
2022年4月24日
私の居住地、週間天気予報によると、今月はあさってから天気が悪そう。
アゲハの羽化に必要な要件、気温をやっとクリアしたら今度は「雨天」の影響が出てくるのか。上手くいかないもんだな。この時期は、強風の日もある。今月中の羽化は厳しそうだ。
この時点でも、今年の蝶の初見は、まだである。
2022年4月26日
とうとう羽化スイッチが入ったか? 朝起きてすぐ見たら、サナギの色が変わっていた。ナミアゲハの模様の一部分らしきものが見える。
この日の天気予報は「大雨。翌日朝から翌々日までは晴天。その後3日間は雨天。」とのことだ。
「27日朝からの午前中に羽化してほしい。風速も気になるところではあるが。」と思った。よいタイミングで羽化してほしい。
日付が27日に変わる直前に、まだ羽化していないことを確認。
羽化スイッチが入っても、まだ安心はできない。検索したら、「サナギから出てこれるだけの体力がなくて、羽化できなかったケース」や「つかまる足場が無かったため、床に落ちて羽化できなかったケース」なども見つかった。
羽化の時間帯について、以前、調べたことがある。
羽化の時間帯については、ネット上の記事では、「明け方近くに羽化した」という記述が多かった。「未明」の時間帯での報告は、ほとんどなかったように思う。
「真夜中近くだと、夜行性の外敵がいる。明け方に活動する生物は少ない。だから、明け方近くに羽化するケース多し。」という記述もあった。
私の居住地、2022/04/27の夜明け(「日の出」ではない)は4時53分とのこと。そこで、翌日の4時半に観察を開始することを決めた。
2022年4月27日
観察開始。あれれ、未明にすでに羽化してたのか?文字通り、もぬけの殻状態だった。「寄生昆虫が出たような穴」は無かった。うちの中には、蝶の姿は見えない。
無事に羽化できたのだろうか?元気に外へ飛び立っていったのならよいのだが。
気象庁サイトによると、この日は「0~2時に降水あり。2時頃と5時頃に5m/s前後の風速あり。9時頃~20時頃までは風速が5m/s超。」だったらしい。
もしやサナギさん、雨や強風を察知して、この時間帯に羽化したのだろうか?
2022年4月30日
今年のナミアゲハ初見。うちの玄関近くだった。「やはり春型アゲハ」という大きさだった。
「7ヶ月近く一緒に暮らしたナミアゲハさんだったら、うれしいな」と、勝手なことをついつい考えてしまう。