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karotousen58のブログ

「変なことを思い出す→そのことについて、変な見解を述べる」というブログ

ぐるなびお題「思い出のレストラン」

r.gnavi.co.jp

 

 私にとっての「思い出のレストラン」は、30年前に、鳥取市出身の友人に連れて行ってもらった「べるしい」である。

この店を知っている人は、店名を聞くや否や「大盛」という言葉を連想するのでは……と私は思う。

実際、「べるしい 大盛」で検索すると、豪快な写真や数詞がいろいろと出てくる。

皿も量も強烈だったが、私にとっては当時のマスターも忘れられない人となっている。今は、息子さんがマスターらしい。

 

30年前、私は九州の大学生だった。前にも書いたことがあるが、高校卒業まで私には、「食べたことのない謎の食材」がいくつかあった。両親の嫌いな食材が、料理に使われなかったからである。

大学入学後、「謎の食材を試す」ことは、私にとっての楽しみとなった。

「この食材、生まれて初めて食べる」とか「憧れのレバニラ炒め」とか私が言うのを聞いて、他の学生や職員が面白がっていた。「嫌いな食材は夏炉冬扇さんへあげると喜ばれるよ」などと言われまくった。

子供の頃から私は、食べ物はできるだけ残さないようにすることを心がけていた。だから私は、「不人気料理処理係」めいた存在になってしまった。

私は小柄である。「不人気料理処理係が小柄」というのは、ビジュアル的には奇妙なものらしい。

鳥取市出身の友人が言った。「あんたを鳥取の『べるしい』に連れて行ったら面白いだろうな。小柄な人があそこの料理を完食するところを、マスターに見せたい。マスターがどう反応するか見ものだ」と。

 

1985年夏、私はその友人と「べるしい」に行った。

夏休みの頃だったからか、高校生ぐらいの客が少なかった(その友人の証言によると)。

「高校生がたくさんいたら、料理の皿とか盛りとかいろいろ見えて面白いんだけどな。夏休みだからかな。マスターと高校生の掛け合いも面白いんだけどな。」とのことだ。

 

当時、「べるしい」は、鳥取駅前にあった。外観はふつうの洋食屋である。

友人と入ったとき、他のテーブルに、まだ下げられていない皿があった。おお、本当に巨大な皿だ。カレー完食後と思われる。

メニューには、「ふつう、中盛、大盛」と書かれていた。巨大な皿を見て怖くなった私は、「ピラフのふつう」を頼んだ。友人はチキンカツランチを頼んだ。

少したって、目の前を、他の客がオーダーしたと思われる巨大オムライスが通過した。怖くなった。「中盛にしなくてよかった。」と思った。マスターは水差しを持って、店内を巡回している。

 

ピラフとチキンカツランチが運ばれた。たぶん、米一合は使っていると思われる量だ。中盛だったら完食できる自信がない。味はよかった。が、正直言ってマスターが怖い。コップの水の量が少なくなると、マスターがすかさず水を足してくるのだ。水を飲みすぎてピラフを食べられなくなったら、本末転倒だ。しかし、これを正直に言うのも怖い。

なるべく水を飲まないようにして、何とか間食した。友人曰く、「結構余裕のある食べっぷりだったぞ。中盛でもいけるんじゃねーの?(注 これは店を出た後で言われた。)」うへぇ、そう見えていたのか。

おおかたの人なら途中で手が止まって、マスターから『残したらいけん(注 「いけん」は「だめ」の意)で。全部食べるまで帰らせんで。』とか言われるらしい。完食できなかった場合は、「なんで残すだ。」と文句を言われるらしい。友人の証言によると。

帰りに、マスターが「また来てな。」とにこやかに声をかけてくださった。店を出た後、「小柄だから、いかにも食べないという感じに見えたのかな。大盛完食でもないのに「また来てな。」と声をかけられるなんて、想像できなかった。」と友人が言った。

 

店を出てから、友人が、中盛と大盛のイメージを、絵に描いて説明してくれた。大盛は、富士山の形で書かれていた。中盛でも米二合は使われているだろうとのことだ。また、私が見た「カレー完食後と思われる巨大な皿」も「巨大オムライス」も、たぶん中盛だと言われた。

その友人が初めてべるしいに入ったとき、「予備知識がないと思われる高校生が、大盛ピラフを頼んで悪戦苦闘する場面」にちょうど出くわしたらしい。

以来、友人は、大盛をオーダーする人に出くわしたとき、「あーあ。知らずに来たんだな。どうなっても知らないぞ。」と思ってしまうそうだ。

また、水を継ぎ足されたときに断っても、「水をきらしてはいけん。」と言われるらしい。

こういうタイプのマスター、今のレストランではあまり見かけないかもしれない。

 

ぐるなびお題「思い出のレストラン」

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