第2回共通一次試験(1980年)国語
今週のお題「受験」
このお題で記事を書こうとして、「私も歳を取ったんだな」と思った。記事の題材になりそうなことが、次から次へと頭に浮かんでしまったからだ。
1982年神戸大学二次試験数学(「kの値を求めよ」という問題で、正解は「解なし」)、1985年共通一次数学(「昭和の米騒動」と言われた)、1989年共通一次理科で得点調整/国語でまさかの『源氏物語』出題、1980年共通一次国語の問題文、これらが特に印象に残っている。
今回は1980年共通一次国語の問題文について書く。
私は第5回共通一次試験(1983年)を受験した。1984年までの共通一次試験国語は、「評論、小説、随筆または解説文、古文、漢文」の全5問だった。現代国語(当時は「現代文」とはよばれていなかった)の配点が高かった。
第2回共通一次試験(1980年)国語の「評論以外の現代文」が、私にとってインパクトが大きかった。
といっても、試験場でこれらの問題を解いたわけではない。過去問集で知った。
出題されたのは、小説が『鳥寄せ』(三浦哲郎)、随筆または解説文が『ロン先生の虫眼鏡』(光瀬龍)だった。『ロン先生の虫眼鏡』は追試験での出題だったかもしれない。
『鳥寄せ』は、強烈な内容だった。「うへぇ。こんな重い内容の小説が出題されたのか。」と、試験問題を見て思った。「石地蔵になったとはどういう意味か」「網を持って山に入ったのは何故か」といった設問があったのを覚えている。
この問題を解いて以来、「三浦哲郎」という名前を見聞きすると真っ先に、「石地蔵になったとはどういう意味か」という設問が頭に浮かぶようになってしまった。『繭子ひとり』でもなく、『盆土産』でもなく、『春は夜汽車の窓から』でもなく、この設問が。
「鳥寄せ 共通一次」等で検索すると、いろいろと出てくる。やはり、「強烈な印象が残っている」という人は、私だけではなかった。『鳥寄せ』は、新潮文庫『木馬の騎手』に収録されている。
『ロン先生の虫眼鏡』(光瀬龍)というエッセイは、後に、原作には登場しない独自のキャラクターが活躍する漫画作品として再構成された。私が(誰かに買ってもらったのではなく)自分の小遣いで初めて買った漫画単行本は、この漫画『ロン先生の虫眼鏡』である。だから、過去問集で見たときに驚いた。
「この漫画の原作本が共通一次に出たのか。正答に届かないやつが多かったから悔しいな。」と、解いた後に思った。光瀬氏の中には「正答に疑問がある」という思いがあったそうだ。ネットを使うようになってからそれを知った。
中学や高校の国語試験。「この話、全文を読んでみたい。だけど、題名も作者の名前も書かれていない。」と当時思ったものも、そういえばあった。
今はネットの時代。ネットを使っていて偶然辿り着いた記事で、それらが偶然にわかってしまうことがある。
「立春の卵」の話とか、『ものの見方について』(笠信太郎)とか。中学時代の私に教えてやりたくなる。
私は国語が苦手だった。苦手な私にとっての国語試験でも、「全文を読んでみたい」と思う話に出会うチャンスがあったんだな。不思議なもんだ。と今は思う。
このような経験、他の人もあるんだろうか?