karotousen58のブログ

「変なことを思い出す→そのことについて、変な見解を述べる」というブログ

謎の食べ物「納豆」

今週のお題「納豆」

私が初めて納豆を食べたのは、高2の夏休みだった。私の親は納豆が嫌いである。だから、うちの食卓には納豆がでてこない。親戚の家に行っても、食べる機会はなかった。
高2の夏休みに、納豆を食べるチャンスが偶然にできた。その日、姉が納豆を買ってきて、「食べてみる?」と訊いた。私と弟は、話に乗った。
その年は、姉が東日本の大学に進学した年である。姉はそこで納豆の味を知り、気に入ったらしい。

食べるチャンスがなかった頃、私にとって納豆は「謎の食べ物」「漫画以外からは、情報が得られない食べ物」だった。
「糸を引く」「においが独特」「かき混ぜて食べる」「醤油で食べる」「卵を入れる人もいる」「藁に包まれている」という断片的な情報を、漫画で読んだことがある。「一度食べてみたい」と親に言って、こっぴどく怒られたことがある。そのときから、「親の前では、納豆のことなんか言わんとこ」と思うようになった。
「納豆」「豆腐」という漢字も、私にとっては謎だった。大豆を腐らせたやつが「豆腐」で、納まっているのが「納豆」と、なりそうなものなのに? 何故? と思った。

高2の1学期に、化学の授業で「炭素化合物」について習っていた。その中に「アミノ酸」の単元があった。「アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を持つ」という話のときに、「納豆」が引き合いに出された。
「納豆がくさいのは、納豆菌がタンパク質を分解したあとに作られるアンモニア臭も原因の1つ。アミノ基を連想しろ。納豆は栄養豊富。納豆が嫌いなやつは田舎者だ。」という主張が、授業でなされた。
ちょうどよいタイミングで、納豆を食べるチャンスが出てきた。

納豆を初めて食べたとき、私の感想は「これまで経験のない味。だけどおもしろい。気に入った。」だった。しかし、弟は拒絶反応を示した。当時、弟は中2だった。
それから15年以上経ったある日、実家に姉も弟も帰省していた。姉は子供を連れて帰省していた。
「子供も食べる」という理由で、姉は納豆を買っていた。うちの冷蔵庫に納豆が入るのは、あの「初めて食べた日」以来だ。
冷蔵庫の納豆を見た弟が、「納豆か。こいつは、うまいぞ。」と言った。弟も納豆を抵抗なく食べていた。
「そうか、味覚は、中2ぐらいでは決まらないものかもしれないな」と思った。

大学進学で、実家を離れて九州で暮らした。一人暮らしだったから、思う存分納豆を楽しめた。「お城納豆」とか、いろいろとおいしいものが買えた。
実家に帰ってからは、外でないと納豆を食べづらい。「におわなっとう」レベルでも、「においがするから嫌」と親からクレームがつく。
その昔、朝日新聞に「中島らもの明るい悩み相談室」という連載記事があった。
掲載された悩みの1つに、「納豆が好きなのですが、つれあいが納豆嫌いのため、食べさせてもらえません。私は、いつ、どこで、納豆を食べればよいのでしょうか。」というものがあった。
悩みを見て、「私も、投稿しとけばよかった」と思った。